52年前。
幼稚園の年長だった私は母を従えて近所の食料品店にいた。
朝からどうしてもプレゼントを買うと言ってきかなかった。
板チョコを一枚慎重に選び、プレゼントにするために包装してくれとうったえた。
店主のおばあさんはきれいな紙袋にその板チョコをポンと入れて「持つところもついとるし、きれいな袋だできっと喜ぶに」
といって私に渡した。
満足した私は母に言った。
「じゃあお母さんお金払っといてね」
晩ごはんのときに渡そうと決めていたが、家に帰るや我慢できずに私は言った。
「お母さん、お誕生日おめでとう!
これプレゼント。夜まで見ちゃだめだよ」
買ってきたばかりの板チョコを母に差しだした。
ものごころついて初めての母への誕生日プレゼント。
心だけはこもってたなぁ。
今日5月8日は母の誕生日です。