6月22日。
雨上がりの水曜日。
読者の方から仮想通貨(クリプトコイン)を持ち続けることのメリット、デメリットの問い合わせをいただきましたので見解をのべます。
今は冴えない値動きで推移している仮想通貨ですが、つい昨年までは暴騰暴落を繰り返してきました。
そのため、300万円ほどの投資額が短期間に数十億円に高騰したといった極端な事例も散見されたものです。
もちろん一夜にして投資額がほぼなくなってしまったという悲劇もそれ以上にあったであろうことは想像に難くありません。
仮想通貨については何より税法が実務的にまったく追いついていません。このため、利益が出ても損失が出ても懲罰的な課税がなされます。
まず、所得税について話を極端にシンプルにして説明します。
仮想通貨の売買による所得については雑所得となります。この種類の所得は経費概念がないため、利益の約半分は税額となります。損失が出た場合でも繰り越しはできません。
本当に恐ろしいのは仮想通貨を所有したままお亡くなりになった場合です。
300万円で買った仮想通貨が40億円の評価額となり、相続が発生したケースを考えてみましょう。資産はそれだけと仮定し、その他細かな控除等は端折ります。
相続財産 手持ち資金 税額
40億円 0 20億円 相続税の確定
相続税納付のため売却。
0 20億円 相続税納付。
0 0 売却による所得税、住民税
20億円
0 0 計40億円
となります。
きれいさっぱり40億円が消えます。
もっと怖い話しましょうか?
相続財産 手持ち資金 税額
40億円 0 20億円
その後30億に暴落。
急いで売却。相続税20億円納付。
0 10億円 所得税、住民税
15億円
0 マイナス5億円 合計35億円
つまり税金が払いきれなくなり5億円の租税債務が生じます。
これについては減免等はありません。破産しても残ります。
仮想通貨の本当の怖さは今のところ税制にありといったところでしょうか。
仮想通貨の相続財産がある場合は3か月以内に相続税の試算をし、相続の放棄も視野に考える必要がある。
それ以前に仮想通貨で大きな利益を出した場合、高率だが所得税を支払って法定通貨に換金しておくなどがベターな選択になります。