路地ってやつは

おはようございます!

今日の尾張西部地方の天気は晴れです。

まだ明けやらぬ早朝から仕事をしています。
お昼には仕事を終わらせて自由な時間を楽しむためです。

最近よく思い出すのは旅行で行った街の小さな路地です。


北京の広大な大通りなんて記憶からすぐ消えます。
胡同(フートン)で招き入れてくれたお家で日本語を話すおじいさんとのほんの些細な会話のほうがよほど記憶に残ります。
「ここじゃあね、人は住むんじゃなくて配置されてるだけだよ」
なぞの言葉。
もう20年も前か。

デトロイトやシカゴの路地裏の電線にはバスケットシューズがぶらさがってたっけ。
何かの目印みたいに。
何日いても決して好きになれない街。

まだ九龍城があった頃の香港で若かった私たちはどれくらい近くまで行けるかと細い路地を恐るおそる歩いたものです。
人間よりも、巨大な野良犬のほうが怖くて息を殺して退散したのを覚えています。
香港は特に各駅に秘密めいた路地が豊富で何日いても飽きなかったのを思い出します。

30年前の台北の野良犬も痩せて大きくて目が鋭かった。
そしてやっぱり人間より威圧感がありました。
何時間歩いてもちっとも飽きることがありませんでした。
朝は公園で太極拳の人たちに混じって始まり、屋台の軽食と冷たいビールで夕方まで楽しく過ごせたものです。
地下鉄を乗り継いで夜市で一日を終えホテルに戻る前にはマッサージを。
疲れなんて残りませんでした。

ホーチミンシティのむせかえるような暑さのローカルマーケットで人波にもまれながら常温に置かれた生肉の匂いや、何かを油で揚げながら笑いかけてくる分厚い眼鏡をかけたおばちゃん。
やっと見つけた路地裏のカウンターバーで冷たいHeinekenの瓶を出してくれたのは色っぽいお兄さん。
あちらの世界の方。
言葉なんてわからなくても目つきとしぐさですぐわかります。
気配を消して早々に退散を。


事務所のおばちゃん二人と私。
あれはシンガポールだったか。
ターバンを巻いたインド人タクシードライバー。
目的地に近い路地の入口に車を停め
「金はいらねえ」
「えっ?」
「いらねえ」
「なんでだ?けっこう乗ったぞ」
「今、子供が産まれたんだ。」
小さな携帯電話から向き直った目は涙で濡れてた。
「おめでとう!」


私らだって生まれて初めての経験だったさ。
無料のタクシーなんて。

またすてきな旅行に出かけられる日が来ることを祈りながら。

ほんとうに大好きで、たぶん一番よく聴く一枚です。
LESTER YOUNG
『Pres and Teddy』
優しくて、カッコよくて大人で。

投稿日:
カテゴリー: 日常

作成者: yellowcar

59歳。妻と高校生の娘、ビーグル犬とともに暮らす自営業者です。 仕事以外の日々のルーティンや生活、 ごくたまに黄色い車で出かける小旅行や出張など 日常の出来事やちょっとした楽しみなどを綴っていきます。

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