まだ世界はコロナ前でした。
その日は名古屋で用事を済ませ電車で帰ろうかと駅に向かって歩いていました。
雨の深秋の3時半頃だったか。
日常から少しだけ抜け出したくなって、映画館の前で足がとまりました。
確か村上春樹原作の『ハナレイ・ベイ』に心引かれてチケット売場に並んでいるうちに、『日日是好日』という映画がとても気になってしまったのは不思議なことです。
冬が近づき冷たい雨。4時前だというのに薄暗くなり始め、日日是好日といった気分から程遠かったからかもしれません。
思いがけず観た映画でしたが、茶道という解りにくい世界と25年ものあいだ関わってこられた女性の実話をもとにつくられた素晴らしい作品だったことを思い出します。
皆それぞれに実力派の素晴らしい俳優さんばかりですが、樹木希林さんの演技には本当に圧倒されたのを覚えています。
かなしげな、はかなげな表情や暖かな眼差しやとぼけた可笑しさや。。。この人にはすべてがある。そんなことを思わせるいい映画でした。
今日レンタルビデオ屋さんでたまたま見つけましたので、夜のお楽しみでゆっくり観ようと思います。