エイジンを前に想う

おはようございます!

8月7日土曜日気温30℃を軽く超える暑い朝です。

玄関にどうしても欲しかった鈴木英人の絵が届きました。

毎日毎日エイジンの描いた波打ち際を見ながら懐かしい気持ちに浸っています。

この暑い時にふと思い出した光景を……。

昭和も終わりに近い2月の冷たい風が吹く日だった。
近所の寿司屋に行こうと親父に誘われた。

カウンターに並んで座ると、親父は私のグラスにビールを注ぎながら言った。

「あせるなよ。
 先輩にかわいがってもらえ。
 恩を忘れるな。
 ねばり強くあれ。俺から言っておくことはそれだけだ」

私はうなずき、グラスのビールを一気に飲み干した。

3月には家を出て、大阪の会社に就職が決まっている私に、親父らしい簡潔さで餞の言葉をくれたのだ。

親父は真顔でそれだけ言い終えると、心から嬉しそうに酒と肴を楽しんだ。

私は間もなく始まる社会人生活に言い知れない不安と期待が混在し、灰色の冬空のような気持だった。

雪なんか降らない街なのに、有線放送から流れる「雪国」って歌が心に沁みる寒い夜だった。

激しい暑さの中でなんでこんなことを思い出したんだろう。

作成者: yellowcar

59歳。妻と高校生の娘、ビーグル犬とともに暮らす自営業者です。 仕事以外の日々のルーティンや生活、 ごくたまに黄色い車で出かける小旅行や出張など 日常の出来事やちょっとした楽しみなどを綴っていきます。

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