この歳になってお恥ずかしい話ですが、読まずにきてしまった小説家のなんと多いことかと思います。
何かのきっかけで初めてその作品に触れて驚かされることがあります。もちろんいい意味で。
私は食べ物に好き嫌いがほとんどありません。
何でも食べます。
食べられないわけではないが、あえて一つだけ苦手な食べ物と言えばバナナです。
昔からそのお名前は知っていました。
「吉本ばなな」さん。
本屋さんでも図書館でもお見かけする名前です。
でもそこはほら、バナナを連想してしまうせいか読まず嫌いとでも言いますか。
57歳になるまで読まずにきてしまった。
最近すっかり「ばなな」ファンになり、彼女の本を手に取る機会が増えました。
実は吉本先生は私と同い年。
作品は素晴らしく、こんなにもセンシティブですぐれた作品をずっと知らずにきてしまったのはもったいなかったなぁと今更ながら思います。
図書館の蔵書はもう古びていて、彼女の書き続けてきた足跡を感じます。
かびくさいその本の中から確かに20代だった頃の風景がよみがえってきます。30代にさしかかった不安も焦りもそこに残っています。
こんな素晴らしい小説家が今も作品を書き続けてくれていることに感謝します。